2019年に入って、軍事の世界で興味深い単語がみられるようになりました。

それは極超音速兵器という存在。
マッハ5以上が極超音速の領域とされており、既存の兵器群と違うのは対処が困難であるという点です。

新しい兵器の登場と、それによる軍需産業への影響を考察してみました。

極超音速兵器の登場は、21世紀の軍需産業を刺激する

極超音速兵器は既存の兵器群とどこが違うのか。
日本・内閣府の宇宙安全保障部会 第31回会合(資料有り)を拝読してみました。

これによると極超音速兵器には弾道ミサイル、巡航ミサイル、滑空体の3種類が存在します。

弾道ミサイルは極超音速領域に到達しますが、弾道飛行する飛翔体。
飛行経路変更や回避機動をしないので、迎撃が可能な兵器です。


滑空タイプは超長距離からの攻撃が可能

2018年末、ロシアは極超音速滑空ミサイル「アバンガルド」の発射実験に成功した。と複数の報道があります。
速度マッハ20で、6000km遠方の目標に着弾した実績がある。

高度100km前後の飛行範囲と極超音速により、既存の迎撃システムでは有効な迎撃手段がない。

より遠くから、より速く。
使う側は理想的、狙われた側には脅威です。

巡航タイプは戦術級の射程距離

極超音速巡航ミサイルの射程は、現在のところ500km以内とされています。

平均速度マッハ3としても、毎秒1000m。
発射から600秒(10分)以内で500km先の目標に到達する。

巡航という単語の割には、意外と射程が短い。
巡航ミサイルの代名詞となったトマホークは1000km以上の有効射程があります。

射程が短いとはいえ、極超音速の飛翔体を阻止できるのだろうか。
1秒で1kmも移動する物体を...

既存の大規模兵器群にって脅威である

遠方から迎撃不能な攻撃が届く可能性。
これは軍事行動に大きな影響を与えます。

想定できる目標は、いずれも莫大な費用をかけて構成されています。
  • 進出してくる空母打撃群
  • 飛行場に集結する航空部隊
  • 地上配備型迎撃ミサイル設備
空母打撃群も集結した航空部隊も、国家の威信をかけた存在。
迎撃ミサイル設備は、戦略兵器への抑止力です。

これからの時代、それらが無効化される可能性がある。

2019年時点ではロシアが開発先行している

この分野では開発はロシアが先行しています。
2018年3月に発表されたのはこちら。
  • 極超音速滑空兵器 アバンガルド
  • 極超音速巡行ミサイル キンジャル
このまま開発が進められ、実戦配備されるでしょう。
注目する主要国との開発競争の加速は確実です。

極超音速兵器に関連する軍需企業

意外ですが、アメリカ合衆国は後追いする立場です。
2019年時点で関連する軍需企業を調べてみました。

【レイセオン/RTN】

ミサイルといえばレイセオン
しかも世界第1位のミサイルメーカー。
トマホーク、パトリオットの名称は、日本でも聞いたことがあるかと思います。

レイセオンはノースロップ・グラマンと提携し、極超音速兵器・巡航タイプの開発を加速させています。
今後も予算を獲得し、開発が進むのは既定路線でしょう。

【ロッキード・マーチン/LMT】

軍事関連企業世界第1位(2018年末)という巨大軍需企業ロッキード・マーチン
F-22・F-35というステルス戦闘機、その他にはロケット、人工衛星、ミサイル等を提供しています。

ロッキードの場合、極超音速兵器の開発にミサイルだけでなく航空機も含まれている。
実用化されるのはどれになるか、興味深い。

米国株式の投資先に含めるべきか

極超音速兵器の開発競争は始まったばかり。
しかもアメリカ合衆国の現状は、追いかける立場にある。

レイセオンやロッキード・マーチンといった軍需企業に開発予算が流れ込むとすれば、株式を購入する目安になります。

2019年現在、地球人類が大規模な軍縮に向かう兆候はありません。
国家間の主導権を維持するため、軍需産業に国家予算が流れ込むでしょう。

静かな成長産業となる可能性に、今後も注目していきます。